私の中にあるもの 20

体を離すと裕二はゴムの後始末をして、寝そべったままの私の秘部をティッシュで拭おうとした。
「あっ自分でやるよ。」
慌てて体を起こす。
「そうか?」
一瞬表情が暗くなったが、伸ばした私の手にティッシュを渡すと、トランクスとスエットのズボンを履いて寝室を出ていった。
パジャマを着た私が洗面所で手を洗って出ていくと、グラスを片手に裕二が立っていた。
「はい、お茶。」
「ありがとう。」
受け取って口を付けると、気付いていなかった喉の乾きを急に意識し、ごくごくと一気に飲んでしまった。裕二は空になったグラスを私の手から自然に取ると、キッチンの方へ戻しに行った。
何も言わなくても飲み物を持ってきてくれるのはいつものことで、グラスを返すのくらい私がするのになと思うのもいつものことだった。
ベッドに入って横になるとすぐに裕二も戻ってきた。布団に潜り込んですぐに私の体に腕を巻き付けてきたから仰向けだった体を裕二に向かい合わせた。裕二が私を抱く腕に力を入れて、唇を啄むように合わせてきた。私も裕二の腰に腕を回して体を密着させた。
「おやすみ」
どちらからともなく、声をかけあう。
合わせた体は直接肌を触れていなくても十分にお互いの温もりを感じられるように隙間なく絡まっていて、普段ならそのままとろとろと眠ってしまうのだが、先ほどの裕二の問いかけが気になってすぐに意識を離すことができなかった。
セックスをしたときに、裕二がその行為に関して私に感想を求めることは滅多にというか、もうずっとなかった。つきあい始めた頃は度々、聞かれたような気もするが、答えはいつも同じだったから、そうした問答は自然と交わさなくなり、終わった後は黙って余韻に浸るようになっていた。
せいぜい、裕二がぼそっと気持ちよかったというようなことを呟くくらいで、私に対して同意を求めることはなかったのに、今日は違っていた。それに行為の後のべたつきを拭おうとするのを自分ですると遮ったときの裕二の表情にも何か引っかかりを感じていた。

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