私の中にあるもの 33

「そうなの?」
宏美も身を乗り出してきた。
「裕二はさ、どんなに酔って寝ぼけててもほぼ完璧に記憶あるんだよ。たぶん俺らの前で理絵ちゃんに抱きついちゃったの今んなって後悔してるんじゃない?」
「へえ、裕二さんってかわいい!」
「お前が言うなよ。」
確かに裕二は人前で私と触れ合うことをしない。だから今日の昼間にスーパーで手を繋がれたことさえも驚くべきことなのだ。もし高瀬の言うとおり、頬とは言え悪友達の眼前でキスをしてしまったことを思い出したなら、自らの失態に酔った顔を更に赤くしてしまっているかもしれない。
「まっ理絵ちゃんもいることだし、今日のところは見なかったことにしといてやろ。」
高瀬がにやにやしながらもそう言ってくれたことにほっとしていた。
目の前で祐二がからかわれたら、こちらも恥ずかしくて仕方がないのだから。
お昼に買っていた分も高瀬達が持ち込んだ分もお酒類は全て飲み尽くしてしまったので、デザートとコーヒーを用意するために私はキッチンに入った。「手伝います。」と宏美もすぐに後を追って来た。
「あんなにたくさん持って来てくれてたのに、まさか全部飲んじゃうとはね。」
「結構多めに買ってきたつもりだったんですけど・・。」
ちょっと考えた後、宏美は顔をあげた。
「あれですよ、祐二さんが予想外に飲んだから足らなくなったんですよ。」
「そうかもね。」
二人で苦笑する。
「でも裕二さんが酔っ払っているの私初めて見ましたよ。」
祐二以外の3人は多少の差はあるものの3人とも世間一般レベルではかなり強い方になるため、その中に混じってしまうと弱い人には厳しいかもしれないが、裕二ならこのメンバーと飲むのには慣れているし、今まであんな風に自滅してしまうことはなかった。
「私もあんまり見たことないよ。」
職場の飲み会などの断れない場では勧められるままに飲んでダウンしてしまうことはたまにあるようだが、少なくとも私も一緒にいるときは今日のように絡んでくるような飲み方をしたことがない。まあ、さっきの絡み方だって随分かわいらしいレベルだとは思うけど。

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