私の中にあるもの 40

粘膜と粘膜が触れ合う密着感と熱さ。全く初めての感覚にあっという間に翻弄されて何も考えられなくなっていた。
なに・・これ?!
さっきからの執拗な弄られ方に醒めることなく感じている体はすぐに次の波を迎えていた。
「あーーーーーっ!」
自分の乱れ方を自覚する余裕なかった。何かが溶けだしていって自分と外側の境界線が曖昧になっていく。今まで知らなかった感覚にはやはり違和感と同じくらいの脅威をもたらしていたが、それさえもが自分の外へと拡散していく。
何もかもがどうでもいい。
「理絵、気持ちいい?」
ぎゅっと閉じていた瞼をゆっくり開けると、裕二の顔があった。じっと見つめる目はいつもの裕二のものだった。いや、初めから裕二はいつもと一緒なのかもしれない。違うのは私で。
もう不安はなくなっていた。というより、快感以外は私の中に入り込む隙がなかった。
「きもちいい。」
答えた声は喘ぎすぎて掠れていたが、裕二はそれを聞くとぎゅっと私の頭を抱きしめた。
「理絵、かわいい!」
そんな直接的な誉め言葉を裕二の口から聞くのは久しぶりで照れくさかった。でも、それがさっきまでの自分のはじけた身悶えに対するものなのだと気付くと急にまたいたたまれなくなってきた。
集束していく私の内部で再び現状に対する怯えが形作られていく。
「そんなこと言わないで・・」
私の様子が一転したのに驚いた裕二が顔をあげて、私の顔を覗き込んだ。
「理絵?」
裕二の視線を受けることができずに顔を横に向けてしまう。
また裕二のことが怖くなる。
体の熱が少し退いてくるとさっきまでの自分の痴態が思い出されて、それを裕二に見せてしまったことが悔やまれて仕方ない。自分の抑制できない卑しい性欲が今の状態を招いてしまった。
ずっと隠していくはずだったのに、こんなにあっさりと暴露してしまった自分。
「なんで泣くの?」
また涙が出てしまっていたらしい。泣いている場合じゃないと思うのに、勝手に溢れ出して重力に従って流れていく。
背けていた顔を正面に向かされて目を見据えられる。
「だって・・はずかしい・・・こ・・んなんなって・・」
耐えきれなくてしゃくりあげてしまい、手で顔を覆う。
ひとりエッチを知られてしまったこと、前後不覚に乱れてしまったこと。どれもが決して裕二には見せてこなかった私の一面だった。つい最近まで自分でさえ知らなかった自分の淫らさを最も知られたくなかった人に曝け出してしまった。
「きらわ、ないで・・」
思わず出てしまった言葉だったが、私の外に絞り出された途端、それが実は私をずっと捉えていた不安の本体だったのだと分かった。「りえ」
顔を隠していた手をゆっくりと開かされて、唇に裕二の唇が重ねられた。合わせられてすぐに離れる。
「嫌うわけないだろ。」
落ち着いた裕二の声が私の真上から降ってくる。
「理絵に感じてほしいんだよ。俺が感じさせてるって。さっきから理絵がめちゃ感じてくれてるって分かって、まじで嬉しいんだよ。だから、なんも考えないで感じてよ。」
裕二が私の濡れた頬を手の平で拭って、また唇を落としてきた。
ああ、そうか。
一緒なんだ。
裕二を自分の口と手でいかせたいと思っているのと同じことを裕二も思っているんだ。
さっき裕二に対してこれまでにないような恐怖を感じてしまったのもつまりは自分の劣情を知られたことにより何かが破壊してしまったと勝手に邪推していたせいなのかもしれない。
キスが次第に貪るようなものに変わっていく。そういえばさっきからいろんな所に口を付けられていたのにキスはしていなかったことに気付いた。それにキスしたいと思いながら、眠っている裕二にこっそり口づけしたことも思い出していた。
なんだかくすぐったくて、それを紛らわすように裕二の背中に回した手に力を込めた。

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