キミと僕の距離 5

恥ずかしさからか、頬を紅潮させた圭吾は、眉をしかめていた。ほんの少し開いた唇や、閉じられた瞼の先にびっしり生えた長い睫毛。見慣れたはずの圭吾の顔のパーツなのに、それが組み合わされて作り上げあれた表情は初めて目にするものだった。
それまでずっと下ばかりに目がいっていて、ことに及んでから初めて確認した圭吾の顔。
形容しがたい感情がこみ上げてきた菜々美は自然と手の動きを早めていた。手の中でびくびくっとそれが動いたような気がした。
「やば、出そう。」
圭吾が、目を開いて切羽詰まった声を上げた。
「えっ?」
「ティッシュとって。」
菜々美は自分の脇にちょうどあったティッシュケースからティッシュを取った。右手の動きは止まってしまったが、それを掴んだまま離すことはなかった。
菜々美の手にある1枚のティッシュを取ると、「箱とって」と頼んだ。箱を差し出すと、数枚ティッシュを抜き出して重ねると自分のものの先に当てた。
「動かして。」
菜々美は言われるままに右手の動きを再開した。
「くっ・・・」
もう菜々美は自分の手の方ではなく、圭吾の顔だけを見ていた。再び目を閉じた圭吾はさっきよりも苦しそうな顔をして、何かを堪えていた。
「菜々美ちゃん!」
圭吾の声とともに手の中のものが急に大きく跳ね上がったように思えた。危うく手を離しそうになった菜々美の手を圭吾が上から握って自分で強くしごき上げた。
「くうぅ・・はっ、はっ」
菜々美は先端から白いものが飛び出して圭吾があてがうティッシュの中に吸い込まれていくのを見ていた。

「菜々美ちゃん?」
圭吾が心配そうに菜々美の顔を覗き込んでいた。少しぼんやりしていたらしい。気が付くと、菜々美の手の中にはもう何もなく、圭吾は既に短パンを履いていた。エロアニメもいつの間にか終わってしまい、部屋の中は静かだった。
「あんな風にしてるんだ。」
少し動揺していたのを見破られたのではないかと思うと、菜々美が口にする言葉はとげとげしくなった。
「圭吾は毎日してんの?」
「毎日もしないよ。」
「ふーん、じゃあ2日に1回?」
恥ずかしそうに再び俯いてしまった圭吾に更に意地悪な質問を投げかけた。
「そんなの分かんないよ。」
「なんで分かんないのよ。自分がしてることなのにさ。」
圭吾はもう何も言い返さずにまたもや俯いて黙ってしまった。
「ときどき、あたしがしたげる。」
自分の優位性を確認した菜々美は更に追い打ちをかけるようなことをにっこりと笑いながら言った。
絶句する圭吾。
「なにいってんの?そんなの。」
「いやなの?」
圭吾は再び沈黙してしまった。沈黙は了解。
菜々美は圭吾との主従関係を確認すると自然に笑みが浮かんでくるのだった。そんな菜々美の薄笑みを圭吾は溜息をつきながら見ていた。
その菜々美を見る目は確かに恨みがましくはあるけど、それだけではない色が滲んでいることを圭吾は自覚していた。

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