テーマ:優しい手

優しい手 12

気付かれてたんだ・・・。 文化祭の晩、俊介の部屋に泊まったとき、女の子からシャワー浴びなさいと俊介の母が唯菜と美咲を浴室に案内してくれた。3人になると彼女は嬉しそうに「俊の彼女はどちらなの?」と言い出して、俊介に片想い中だった唯菜は返答に詰まってしまったが、美咲は「今のところはどちらも違うんですー。残念ながら」と微妙な言い回しで答えた…
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優しい手 11

一度眠ったせいか、それともさっきの右手の感触のせいか、頭の中の霞は取れて鮮明になっていた。 俊介は英語より数学の方が得意らしく、ポイントを伝授すると、引っかかっていた問題はほとんど解けるようになった。 「井上の教え方って分かりやすいな。」 「そーお?家庭教師のバイトしてるからかな。相手は中2だけど。」 「親戚だっけ。井上の親戚な…
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優しい手 10

今、目の前でシャーペンを持つ右手と、あの時、触れるか触れないかのところに置かれた右手が重なる。 何度思い返してみても、あの時どうしてその言葉を口にすることができたのか、自分でも分からない。 昼ご飯を食べたせいか、昨夜の夜更かしが唯菜に欠伸をもよおさせた。なんとか噛み殺しながら、プリントの最後にある証明問題に集中しようとした。 急に…
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優しい手 9

バス停はゆっくり歩いても5分とかからなかった。後夜祭が終わった後から今まで、クラスメートとしてほとんど一緒にいられたけど、二人きりになったのは今だけだ。機会を狙っていたにも関わらずいざお望みの状況となると毎晩のようにシミュレートしている言葉を口に出すことはできなかった。 他愛もない話を途切れることなく楽しめるような今の関係は居心地がよ…
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優しい手 8

唯菜が俊介の家に上がるのは2回目だった。この辺りは地元では有名な高級住宅街だったが、俊介の家もそこにちゃんと馴染むレベルだった。 「まあ、あがってよ。」 俊介がスニーカーを脱いで上がり框をまたいで、土間に立つ唯菜を見下ろした。 「おじゃまします。」 唯菜が脱いだ靴をそろえていると、奥からぱたぱたと足音がこちらに向かってきた。 …
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優しい手 7

二人は机の上を片づけて荷物を入れたロッカーに向かった。土曜日の午前中は平日よりも家族連れが多く、ロッカーの奥にある児童用コーナーからは子供の声が漏れてきていた。 ロッカーから鞄を取りだした唯菜は、返却しようと思っていた本がそのままになっていることに気付いた。 さすがにこれらの本を入れたまま歩き回るのは辛いよね。 唯菜はリュックを肩…
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優しい手 6

-2- 一緒に勉強が出来る場所と言われて、市立図書館を指定したのは唯菜だったが、ちょっと場違いだったかと少し後悔し始めていた。 お互いに全くの自習をするだけなら、それでよかったのかもしれないが、勉強を教えるという目的がある場合、ずっと黙っているわけにもいかず、よく通る俊介の声が、「あっそっか!」とか「なーるほどね!」とか彼が感心…
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優しい手 5

雲の覆った空はさっきから同じような色で、時間の経過が分かりづらかったが、心なしか少し薄暗くなってきたようだ。携帯を開いて時間を確認すると17:34だった。 「何時?」 俊介が横から覗き込んできたので、5時半、と答えて画面を見せた。 「明日、雨っぽいね。」 携帯を鞄に戻してから空を見上げる。 「んー週間天気予報どおりならね。」 …
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優しい手 4

「そういや、頭痛いける?」 俊介に尋ねられて、唯菜は公園に入ったときには後頭部に張り付いていたズキズキした痛みが殆どなくなっているのに気付いた。 「だいぶんましになったよ。ありがと。」 よかったと言いながらまたペットボトルに口を付けて最後まで飲み干す俊介を眺めながら、今は試験前であることを思い出す。 「試験、勉強してる?」 「…
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優しい手 3

「俊介って佐々木のこといいなって言ってなかったっけ?」 教室の中から聞こえてきた一言に引き戸の取っ手にかけようとしていた手が止まった。中にいる人は見えなかったが、藤山の声だった。委員会が終わってメールするよりも直接来た方が早いと急いで教室に戻ってきた唯菜は扉の前で固まってしまった。 「まあねえ、って田山も言ってただろ?」 俊介の声…
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優しい手 2

俊介は自転車通学、唯菜はバス通学だった。お互いの家はかなり離れているが、方向は同じだった。俊介は自転車を押しながら唯菜の隣を歩いている。試験前の1週間は余程のことがない限り、部活は休みだ。全部の部活が休んでいるとこんなに静かになるんだ。 人影のないグランドや校舎を少し他人行儀に感じていた。校舎を挟んで正門とは逆方向に位置する自転車置き…
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優しい手 1

「私の中にあるもの」はとりあえずまとまりました。 今日から全く別の新しいお話始まります。 ではどうぞ! 優しい手 -1- その日の唯奈の運気は放課後を境に一気にどん底に下がってしまった。 余計なことを知ってしまったせいで、それまで最高潮に盛り上がっていた乙女気分は儚くも粉々になってしまったのだ。それでも落ち込…
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